「ヴぃしぇぐらーどぐるーぷ?って何ぞ」って感じになるのが普通だと思うが、中欧の東側にある、今回紹介する4カ国の共同体のことである。これらの国は昔から関係が深い。また、いずれも旧ソ連陣営の国という特徴がある。旧共産圏であることもあり、「東欧の国」と言われることが多いが、それを言われると嫌がることもここの国民の特徴。
民族的に考えると、今回の1か国を除き3か国は「西スラヴ」に分類されることも特徴。
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62.ポーランド WW2の被害
左:ワルシャワ条約のシンボル 右:ユダヤ人弾圧のイメージによく使用される「ワルシャワゲットー蜂起」の時の写真
欧米では、第二次世界大戦の最大の被害者という印象が強い国。第二次大戦のみならず、近代の帝国主義で何度も大国に飲み込まれて消滅している。にもかかわらず何度も復活する不死鳥のような国。
第二次世界大戦の引き金はナチスドイツとソ連がポーランド侵攻したことだった。国内には、アウシュビッツ強制収容所など戦争の遺物が多く残る。戦時下はナチスには徹底的に反発し、戦後はソ連陣営へ。ナチスに対するタブーは現在も強く、「ポーランドがナチスに加担した」と表現することを違法とする法律ができそうになっている。
NATOに対抗する軍需同盟が「ワルシャワ条約機構」であったが、そのワルシャワはポーランドの首都。(ただし、ワルシャワ条約機構の本部はモスクワにあった)。かつてのポーランド人民共和国は旧ソ連の最も重要な衛星国であった。一方で、東欧で最初に民主化する。
北東バルト海沿岸のドイツからポーランドへまたがる「ポメラニア地方」はポメラニアン(犬)の故郷。もともとドイツ(プロシア)固有の領土だったが、第二次大戦後割譲された。一方、ポーランドは東部の、現在ウクライナやベラルーシになった地域などを失っている。
と、ここまで戦争と冷戦の話ばかりになったが、それ以外では…
まずポーランド人はスラヴ系で2番目の人口がある。多くのスラヴ人とは異なり95%がカトリックで、3/4が敬虔な信者である。人口の50%が35歳以下の若者の国。
教育に熱心、大学学位取得率は50%と日本を上回る。これはそれほど高くない経済力を考えると非常に高い。国立大の授業料は無料。その背景には、マリーキュリー、コペルニクス、ショパンなどの学芸に通ずる偉人を輩出していることがある。
農業と自然が豊か。ベリー類の農業が盛んで、なかでもカシスの生産は世界シェアの半分を占める。料理も有名で、ライ麦の生産量はドイツと競り世界2位。
63.チェコ プラハの春
中欧の4か国に囲まれた内陸国。首都プラハは1000年以上の歴史ある街であり、戦争による被害や高度成長による影響が少なかったため、各時代の様式建築が立ち並ぶ「ヨーロッパの建築博物館」と呼ばれるようになった。
冷戦中期の緊張緩和(デタント)を象徴する、「プラハの春」は、1968年に起きたチェコスロバキアでの民主化運動。しかし、直後に弾圧される。
1989年の共産主義解体はそのスムーズな展開ゆえビロード革命と言われた。
西半分のボヘミア・東のモラヴィア・北東のシレジアの3つに大分され、地域主義が強い。ボヘミアンガラスは世界のガラス工芸の中でも特に有名。
北東の小さな地域であるシレジアは、住民の意識的にもほとんどポーランドに近い。
歴史的に宗教戦争が多かったこともあり、現在は無宗教が多い。国民の90%が無神論者。
ビールはドイツというイメージがあるが、チェコは一人あたりのビール消費量世界一。
キノコ大好き文化。日本語の「雨後のタケノコ」に相当する「雨後のキノコ」ということわざがある。天気が良い日はキノコ狩りに出かける。
人物は、文学者のフランツ・カフカが有名。
64.スロバキア チェコの片割れ
ちょっと怒られそうだけど、一旦これで。もうちょいましな「ひとことで表現」があればアイデアを分けてください。
若い人以外は知っているかも知れないが、チェコとスロバキアは以前同じ国だった。言語もチェコ語と似ていて、コミュニケーションとれる。分裂も非常に平和的に進み(ビロード離婚)、現在も2国間の関係は良好。
スロバキアは、無神論者が多いチェコに比べて、カトリック多い(人口の6割)比較的保守的なイメージの国。ヨーロッパで最も人種差別が多い国の1つとも言われている。4月に女性に水をぶっかける伝統行事がある。
首都ブラチスラバはオーストリアとハンガリーの二カ国の国境付近にあるという、世界的にも唯一無二の特徴を持つ。ただ、観光地的にはややパッとしない所らしい。
歴史的に王国を築いたことがなく、新しい国。ただ、第二次世界大戦時、チェコはナチスにより解体されたが、スロバキアは傀儡政権が成立している。
チェコとともに、人口当たりの城の数が多い国である(統計によるが、世界一とも)。
名前と国旗が似ているスロベニアと混同しやすいが、互いに「スラヴ」を語源としている理由がある。
色々と地味な国だが、この地味さが観光的には穴場な国。
65.ハンガリー フン人(騎馬民族)の末裔
左:フン人を描いた絵(ウィキメディアコモンズを通じヨハン・ネポムク・ガイガーより取得)
右:現代のハンガリー人(ルービックキューブを発明したルービックさん)
フン人・マジャール人という中央アジアの騎馬民族の末裔と主張している。確かに、ハンガリー語は「マジャール語」とも呼ばれ、ヨーロッパでは完全に孤立した言語(ただし、文字はアルファベットを使っている)。また、ハンガリー(Hungary)という名前も、フン(Hun)人の国という意味である 。しかし、見た目はもろ白人。
ハンガリー人はパプリカが大好きで、ハンガリー料理はほぼ全部パプリカが入っている。
南にアルプス、北にカルパチア山脈に囲まれた「カルパチア盆地」に位置する。夏暑くて冬寒い京都みたいな気候。火山に囲まれた地域のため温泉が多い。1910年代には建築されたごっつい温泉施設がある。
第二次大戦では枢軸国で、ファシズム政権が「矢印十字」というシンボルを用いていた。戦後、史上最悪のハイパーインフレを起こす(ギネス記録)。現在は、(関係あるかどうか知らんけど)消費税が世界一高い国になっている。
かつては3倍の領土を周囲に持つ帝国であったが、第一次世界大戦後(トリアンヌ条約)でほぼ現在の領土になる。そのため、周辺国にはハンガリー人が今でも一定数いる。
原爆の生んだ天才ノイマンやの出身国。ちなみに、ルービックキューブもここで発明される。
西部を流れるティサ川はよく自然が保存されており、年に数回カゲロウの集団羽化が見られる(ティサの開花)。
次回はドイツとかその辺の国の紹介します。
コメント(特にスロバキアに関するもの笑)お待ちしております。