月曜日お疲れ様です。さこです。とりあえず毎日投稿してます。
今回の4か国は「ドイツ語圏」という共通点を持っている、ドイツとその周辺の中欧の国。中世には「神聖ローマ帝国」に含まれていた。歴史は色々あったが、現在はヨーロッパの他の国とも協調し、みな、世界でもトップクラスに経済的に豊かな国である。
<中欧後編 66・~69.>
66.ドイツ EUの盟主
※現(2019)首相のメルケルさん
ドイツがEUの盟主たる所以は、その経済力と人口である。経済力は言わずもがな、EUは国の人口を決議要件として重視しているので、EU最大人口のドイツは当然力が強くなる。日本に次ぐ世界4位の名目GDP(370兆円)があるうえ、財政収支・インフレ率・経済成長率・失業率のいずれを見ても健全な優等生的な国。輸出総額は日本を上回る世界3位。
第二次大戦・ナチスのトラウマから、トップクラスに愛国心が低い国の1つ。敗戦後1991年まで東ドイツ、西ドイツに分かれていた。東西ドイツの分断とは別に、東ドイツ領内にあった首都ベルリンも東西で分断されており、その間にあったのがベルリンの壁。
ナチス政権からの反動から、「民主主義を否定する民主主義」を認めない「戦う民主主義」と言われる政治システムを実行している。具体的には、基本法(憲法のこと)に国民の憲法擁護義務が明記されていること(注:日本の場合憲法擁護義務があるのは公務員)、極端な政治を止めるため政党の最少得票率を5%に定めた「阻止条項」などがある。
また、戦後は連邦制国家になっており、各州への分権が進んでいる。アウトバーンなどの道路網がしかれ、過疎過密問題が薄い点は日本と対照的。
現代の日本との共通点はさほど多くない(と思う)が、戦前の日本はドイツをモデルに国家を作っていた。明治憲法がその代表例。ちなみに、ドイツ語で仕事を意味する「アルバイト」がパート労働の意味になったのは、当時、政治を学んでいる帝国大生が学費稼ぎに出かける時に言ったことが由来、と聞いたことがある。
歴史上の存在感では、ビスマルクやナチスといった政治家はもちろん、MウェーバーやKマルクスなどの思想家の輩出も歴史への影響は莫大。
アメリカに次ぐ移民大国で、ヨーロッパ以外の民族が8%ほどおり、トルコ系(クルド人が多い)だけで3.5%。
動物園が国内に400個ある(世界一)。
再生可能エネルギーの使用割合が世界一。
ライ麦とホップの生産が世界一。ドイツパンは300種類ある(世界一)。
67.オーストリア ハプスブルク家
※ハプスブルグ家の紋章
8か国に囲まれた内陸国。国土の3/4がアルプス。周辺国はEUに加盟しているため自由に行き来できる。NATOやワルシャワ条約機構には加盟しておらず、中立的ではある。周辺国とはみんな仲いいような悪いような感じである。
現在の存在感は薄めだが、第一次世界大戦までは大国だった。
かつて中欧を広域的に支配していた「神聖ローマ帝国」。その王族は慣例的にオーストリアをホームとする「ハプスブルク家」によって世襲された。ハプスブルグ家は神聖ローマ帝国のみならず、スペイン・フランス・イギリス・ロシアといった国の王も一時はハプスブルクの一族が担う。ドイツ語を話すが、ある意味ドイツよりも正統な流れを汲んでいる。とくに、ドイツ南部のバヴァリア地方はオーストリアと近く、ドイツのステレオタイプである「オクトーバーフェスタ」とか「ドリンドル」とかはオーストリア文化に近い。
歴史上の有名人や学者が多く、ハイレベルな学問で知られる(ウィーン学派など)。音楽のモーツァルトもオーストリア出身。あと、ヒトラーもオーストリア出身。
散歩が好き文化で、「お茶しよう」のノリで「一緒に散歩に行こう」と誘う。
スキーが好きで、アルペンスキー・スキージャンプの強豪。
国旗がラトビアとそっくり。
68.リヒテンシュタイン 企業数>人口
国連加盟国で6番目に小さい、10キロ×20キロくらいの面積の国。スイスとオーストリアの国境付近にある、世界に2つしかない二重内陸国(19.ウズベキスタン参照)。神聖ローマ帝国の1800あった領国で、唯一当時のまま続いている国(諸説あり)。
人口も少なく4万人弱しかいない。
神聖ローマ帝国のころは、「魔女の国」として知られていた田舎の弱小領国であった。しかし、弱小さゆえにナチスにもスルーされ、独立をちゃっかり維持し続ける。戦後タックスヘイブンで、一人当たりのGDPは約1800万円の世界トップクラスの富裕国になる。人口よりも企業の数が多い。人口あたりの輸出額は世界一。
一方かなり保守的なカトリックのキリスト教国でもある。大公国で、ハプスブルクの親族であるリヒテンシュタイン公の家系が、政治に強い実権を持つ。また、大公室が金融を掌握しており、世界一金持ちなロイヤルファミリーと言われる。
芸術的なデザインと高い印刷技術を誇る切手が有名。
入れ歯の生産シェアが世界一
69.スイス 傭兵
※スイス傭兵を描いた絵(Diebold Schilling the Younger作)
ドイツ・フランス・オーストリア・イタリアと四方を大国に囲まれている内陸国。言語は、ドイツ語話者が6割、フランス語話者が2割、他イタリア語、スイス言語のロマンシュ語と合わせて4つが公用語になっている。
大国の圧を受ける位置にあるが、高い軍事力で「いずれの側にも立たず」独立保ってきた、というのがスイスの端的な特徴である。現代も、EUにも加盟せず、少し前まで国連にすら加盟しなかった永世中立国である。所持申告のみで銃を所持できる銃社会で、一家に一丁あるのが普通。
スイス人は中世にはフランス王家やローマ教皇などの傭兵として活動する。最古の傭兵とも言われる。
平均年収は世界で最も高い(global note 2017)。世界トップクラスの平均所得なだけあって、名だたるグローバル企業が本社を置く。とくに製薬では、世界シェア1位のロシュ(中外製薬)、3位のノバルティクスがある。世界最大の食品会社であるネスレもある。
金融業界のクレディ・スイス、チューリッヒ保険はスイスの企業。
かつては世界一の腕時計の生産国で、ロレックス、オメガといった老舗高級時計ブランドを擁する。
世界最長の鉄道トンネルがある(153キロ)。
英語ではスイッツランド(Switzland)と言う。小学校の時、音楽の授業で「おおブレネリ」を歌った人なら知ってるやつ。
次回はちょっと東に戻って、バルト三国の紹介します。コメント、☆など喜びます。