おはようございます。今回珍しく朝に更新しました。
以前に一度更新している「東南アジア編」ですが、
クオリティに納得がいっていなかったので、今回改良版を作成しました。
東南アジアは受験や公務員試験とかで地理をやっている人に、多少役に立てるような内容になっていればうれしいです。
東南アジアの13カ国ありますが、3つの視点を持つことでその違いははっきりと見えてくると思います。
その視点とは
①プレート
②多様な宗教
③植民地
の3つ。
①プレート
東南アジアは大まかにマレー半島 と島嶼群に分かれます。プレートの境界に沿って下弦の弧を描くように陸地が連なっています。
プレートの境界で隆起した火山島で構成された陸地のため、山岳地帯が多いです。赤道が近いことも相まって多くの地域でジャングルが広がっています。
②宗教
東アジアは仏教と儒教、中東はイスラム教、ヨーロッパはキリスト教といった具合で
各地域で支配的な地位を占める宗教はある程度偏っています。
じゃあ東南アジアは?実は、3つともです。東南アジアは他の地域にないほど各国で多数派の宗教がバラバラです。
北西の陸から来た仏教(上座部仏教)、西の海から来たイスラム教、太平洋を超えて来たキリスト教。加えて、マレー半島の西半分は共産主義です。
この多様な宗教分布の背景には、東南アジアが歴史的に(現在も)交通の要衝であったことが関係しています。海のシルクロードといわれる、マラッカ海峡に代表されます。多くの民族が行き来する中で様々な宗教が広がりました。
③旧植民地を理解することも大切です。東南アジアは旧宗主国も各国バラバラです。また、何度か入れ替わりもしていますが、近代以降について触れます。
マレー半島は西半分*1がフランス領。東半分*2からインドにかけて、加えて尖端のシンガポールはイギリス領でした。
島嶼部では、現在のインドネシアはオランダの重要な植民地でした。また、フィリピンは数少ないアメリカの植民地でした。
さらに、忘れられないのは太平洋戦争期にすべての国が日本の統治下に入っていたことです。東南アジアの日本統治に関する見方は複雑で…という話、イデオロギー的にややこしいから割愛。
※関係性=タイとミャンマーはfrenemy
11か国(6.~16)
6.ミャンマー ルビーの産出地
杰杰 张によるPixabayからの画像
旧称ビルマ。
東南アジアで一番左側、一番西にある国。仏教徒の「ビルマ人」がマジョリティだが多民族国家で、イスラム教徒の「ロヒンギャ」は時事ネタとして注目されている。
そのロヒンギャ迫害で近年非難を浴びているのが、アウン=サン=スー・チー。彼女はビルマ建国の父アウンサン将軍の長女で、非暴力民主化運動の指導者として過去にはノーベル平和賞も受賞した。現大統領はウィン・ミンという人で、アウン=サン=スー・チーは現在国家顧問。
世界最高品質のルビー産出地(世界の90%のルビーはミャンマー産)であるほか、翡翠やサファイア、真珠など宝石の産地。
覚せい剤の世界最大の産地。その売上高は毎年20億円にのぼり、外貨獲得の40%であるとも言われてる。アヘンはアフガニスタンに次いで生産しているし、ドラッグの生産が東南アジア1多く山岳部に「ゴールデントライアングル」と呼ばれている地域がある。*3
東西と北を山に囲まれ、中央の川沿いが大きな平地。ブルマ人は主に平地のエリアに住み、東西にはそれぞれ少数民族が住む。ロヒンギャの他にも多様な民族がおり、真鍮リングで首を伸ばす首長族は有名。
ビルマ語は周辺の言語とは違うユニークな言語で、丸々とした文字が特徴的。
旧イギリス植民地。太平洋戦争のとき日本軍により多量の被害を出している国の1つであるが、現在はかなりの親日国である。
7.タイ 上座部仏教
旧称シャム。シャムネコはタイが故郷である。ミャンマーとは友達のような、敵のような関係。同じ上座部仏教の文化がある国だが、過去に何度も戦争をしている。*4
東南アジアの仏教は、日本や中国といった東アジアの大乗仏教とは系統が大きく異なっている。画像のような、黄色の袈裟を着た托鉢僧のイメージ。電車やバスで僧をみると席を譲らなければならない。
バンコクを中心に「ワット(寺のこと)」と呼ばれる蟻塚のような見た目の寺院がたくさんあり、日本人の観光客も多い。
マレー半島のど真ん中にあるが、世界で数少ない、非帝国主義の国でありながら植民地にされなかった国である。
太平洋戦争時に日本が「ロームシャ」を使って敷設した泰緬鉄道は有名。
天然ゴムの生産世界一。
トムヤンクン、パッタイなど料理が有名。
ニューハーフが多い。
8.ラオス 東南アジア最後の秘境
東南アジア諸国はどこも発展著しいが、ラオスは比較的素朴な風景を維持している。悪く言うと発展が遅れている(アジア最貧国)。木造の家や舗装すらない道で、ほぼ物々交換みたいな生活をしている風景が見られる。
ベトナム戦争時に大量の爆撃にあい、世界一空爆された国である。そのことは、クラスター爆弾が世界で禁止されるきっかけにもなった。現在でも不発弾が多く残留するほか、爆弾の残骸を船や鉢植えとして再利用しているところがよく見られる。言語(ラーオ語)はタイ語と親戚。
9.ベトナム アオザイ
アオザイはベトナムの民族衣装で、画像のようなもの。解説は割愛。
現在のベトナムは、ベトナム戦争時の「北ベトナム」(共産主義のほう)が統一したもの。、ベトナム戦争はアメリカ人にとっても大きな禍根を残した。もちろんベトナム人にとっても、例えば枯葉剤の散布で生まれた奇形児や、戦時レイプで生まれた混血児のいじめ問題など戦後も影を落とした。
近年は経済発展が著しい。最近は日本人にも観光で人気。中国とかつての宗主国フランスの文化をうまく吸収しており、フランス料理と融合したベトナム料理が人気。フォーなど。
コーヒーの生産量世界2位。一位のブラジルの1/25の国土ながら、ブラジルの半分くらいの量を生産。日本でも、コーヒー系の加工食品でよく使われている。
有事の際や訓練の時のみ軍隊に就役する予備役軍人が世界で最も多く、500万人いる。
10.カンボジア クメール・ルージュ
Engin AkyurtによるPixabayからの画像
共産主義武装組織「クメール・ルージュ」の指導者ポルポトは独裁者として有名。一説には人口の三分の一が殺されたともいわれ、大量虐殺が行われた場所は「キリング・フィールド」と称される。共産主義による粛清という名目のもと、学のある人や美男美女が殺されたりした。
著者が小さい頃はカンボジアというと貧しい国の代表格のような扱いですらあった。近年高い経済成長率を記録しているが、東南アジアのなかでは後れを取っている方。
カンボジアは東南アジア最長の川「メコン川」によって国土を大きく分断されており、日本製の「きずな橋」で結ばれている。
カンボジアで観光といえばアンコールワット。9世紀から15世紀まで存続したクメール王朝によるもので、最盛期にはインドシナ半島の大部分を支配した。
11.マレーシア スルタンの輪番制
国土は主にマレー半島とカリマンタン島の一部からなる、なかなか変わった国土の形をしている。文化的に統一性があるというよりも、旧宗主国がイギリスの国、という判断でほぼあっている。そのため民族構成も複雑。ただし、宗教的にはほぼみんなムスリムで、イスラムの王制国家。
政治システムが特徴的で、9つの地域のスルタン(王様のこと)が5年の任期をローテーションしながら政権を担うという変わった体制をとっている。
人種構成は、原民族を「マレー人」と言うが、中国からの移民の華人などを含む多民族国家である。1971年からマレー人優遇政策のプミプトラ政策を断行し、反発した華人の富裕層などがシンガポールなどへ流出した過去がある。
日本の集団主義などの倫理を学べ、といういわゆる「ルックイースト政策」もマレーシアのものである。工業化の努力の成果か、所得水準はロシアと同じくらいの中進国になっている。
市民権が取りやすく、世界投資したい国ランキングでも上位を取る(2017年は1位)。
セパタクローはマレーシアの国技で強豪国だったが、最近はタイの方が強くなってきてる。
ツインタワーでは世界一高い建物がある。高さ452mのペトロナスツインタワー。
12.シンガポール 華人の先進国
マレー半島の先にある小さい国である。遠目で分からないが島国。一人当たりのGDPは日本を上回り、「NIES」の一つに数えられる先進国である。華人が人口の70%を占める。
世界三大海峡の一つ、マラッカ海峡の目鼻先で開運の要衝。世界で消費される石油の半分はシンガポールを通過しているというほどである。空路でも、シンガポール空港がハブになっている。
交通のほか主要産業に金融があり、世界金融センターランキングでは東京を抑えて4位。また、世界中からカジノ目当てに観光客が来る。
マーライオンが有名。
シンガポール大学はアジア屈指の名門。
13.フィリピン ブラックナザレ
※画像はイメージです。
ブラックナザレとは黒く焦げたキリスト像に向かって大群が押し寄せる大祭である。
キリスト教国であり、旧宗主国はアメリカ。アメリカの統治はマッカーサーが主導し、経済発展や住民の反発が少なかった点で、成功した植民地統治であったといえる。ちなみにこれは、太平洋戦争後日本の連合国統治の指標にもなった。
アメリカ植民地だったため公用語が英語で、セブ島は安価な留学スポットとして注目されている。著者は以前ネット英会話「Native Camp」を利用していたことがあるが、そこの先生はだいたいみんなフィリピン人だった。
7000の島からなる国。主に北のルソン島、南のミンダナオ島で割れた卵のような形で構成されている。
最近ドゥテルテ大統領のおかげでよく目立っている。
ニッケルの生産世界一。
14.インドネシア ムスリム最大人口
人口がめちゃ多く、世界最大人口の島嶼国でもある。そして、宗教はイスラム教徒が多数派。ASEANの盟主とも言われている。
インドネシアで一般的な戒律は比較的緩いもので、「ヒジャブ」をおしゃれに着こなすヒジャブ女子が話題になった。
もう一つの特徴として、世界トップクラスに自然が豊かな国と言える。赤道直下の熱帯雨林が富かで、多様な生物がいる。ラフレシア、オランウータン、テングザルなどの固有種も豊富。山は火山が多く、かつて噴火で恐竜を絶滅させた疑惑がある巨大火山がある。*6
かつては産油が盛んで、貝のマークのガソリンスタンドで有名なロイヤルダッチ・シェルの主要油田はインドネシアにあった。オランダの企業ロイヤルダッチ(Royal Dutch)社はその植民地であるインドネシアの油田の販売で財を成し、その流通を手掛けたイギリスの商社であるシェル社と合併したものが現在のロイヤル・ダッチ・シェルである。さらに言うと、その油田を目当てに日本がしかけた戦争が太平洋戦争。現在は鉄鉱石とかの産地ではあるが、石油はあんまり出なくなっている。
シナモン、ココナッツ、パーム油などの生産量世界一。*7
15.ブルネイ 東南アジアのレンティア国家
画像のような黄金ドームのモスクが有名なイスラム教国である。カリマンタン島の一部の小さい国でありながら、羽振りのいい国。
小国ながら、石油・天然ガスおよび金融業などで潤っているレンティア国家。東南アジアにあるドバイのような国。
システム上は絶対君主制を維持している。ムスリムの王族はいかにもリッチ感を醸し出すイメージがある。
日本はブルネイにとっての最大の貿易相手国であり、石油・天然ガスを主に輸入している。
16.東ティモール 21世紀最初の独立国
21世紀最初の独立国として、2002年にインドネシアから独立。ポルトガル植民地→インドネシア植民地→独立という経緯を辿っている。前宗主国のインドネシアと仲が悪いせいでASEANから東南アジアで唯一ハブられているが、もうじき入るのではないかと言われている。
「ティモール」とは、東と言う意味である。東東。
東南アジア唯一のポルトガル語圏である。
男性の喫煙率が世界一高い。(2018 WHO)