こんばんは さこです。
今回でシリーズ最終回になります。
南米編として、12か国を一気に解説する長編です。
5000字弱の記事になりますが、お付き合いください。
〈南米〉12か国
182.エクアドル バナナ輸出
エクアドルはスペイン語で「赤道」と言う意味で、その名の通り赤道直下にある。
民族構成としては白人と先住民の混血が8割を占める国である。
バナナの輸出量では、フィリピンに次いで世界二位(2018FAO)。バナナベルト*1上にある国。年によっては世界一になっていることもある。
スペイン語と、ケチュア語*2などのネイティヴ言語の2言語教育を実施している教育熱心な国でもある。
国際的には、紛争や他国との争いの少ない温厚な国。
首都キトはインカ帝国第二の都市。
ダーウィンの進化論で有名なガラパゴス諸島はエクアドル領である。
183.コロンビア バラバラ・多様性の国
政治がバラバラ、土地の風土がバラバラ、文化がバラバラなど、色々バラバラな国。よく言うとダイバーシティが豊かな国。南米ではトラブルメーカー的存在でもある。国が荒れている度でいうとベネズエラ(後述)と競る。
生物多様性も豊かで、世界一鳥の種類が多い。
その源は豊かな自然にある。50~95%熱帯雨林地域で、データによっては世界一降水量が多い(2016 FAO)ともされている。
エメラルドの生産量世界一。世界最高品質のエメラルド産出地とも言われている。
世界一やばい麻薬(ブルンダンガ=悪魔の吐息と言う意味)があるらしい。
サッカー選手、ハメス・ロドリゲス の出身地。
184.ベネズエラ 石油界のホープ兼南米の問題児
シェールガス革命から、世界最大の石油埋蔵国に躍り出た石油界のホープ。
現マドゥロ大統領がやや暴走気味で、南米大陸の貿易圏である「MERCOSUR」からハブられている。一方、ボリビア・ベネズエラ・キューバの左派政権(?)の同盟関係がある。*3
政治の不安定さの根本原因には2017年まで、50年にわたる内戦状態だったことが挙げられる。政治の不安定からハイパーインフレが起こっており、年間物価上昇率(インフレ率)が最も高い(150%)。
首都カラカスは世界一危険な街といわれたりして、悪名が立っている。
南米で1番訛りのないスペイン語らしく(諸説あり)、国民のプライドは高い。
世界一高い滝であるエンゼルフォールがあるのはこの国。
世界初のフリー大麻国でもある。
185.ガイアナ 人口4割がインド系の南米国


右図:赤がガイアナ、黄色くなっている2国とあわせて「ガイアナ3国」
ガイアナ・スリナム・仏領ギアナは「ガイアナ三国」とよばれる。
この3国は、特に開発が進んでおらず「南米最後の秘境」とも言われている。
いずれもインド人が多く、あわせてヒンドゥーが25%いる。
そのなかの1国、ガイアナの特徴の1つは英語圏であることが挙げられる。旧宗主国がイギリスで(旧「イギリス領ギアナ」)、インド移民が黒人奴隷廃止後の労働力として流入。現在も人口の4割がインド系である。そのため、インド以外唯一のヒンドゥー教を国教に指定している国。
一方、南米大陸の北に位置するが、カリブ海諸国連合の「CARICOM」の本拠地を構えるなど、ハートはカリブ諸国である。
人間の生産・廃棄量である「エコロジカルフットプリント」に対する、自然の生産・廃棄物収容力である「バイオキャパシティ」の割合が世界一高い、環境債権国(2016)。2100%。ちなみに日本は-600%である。
(補)仏領ギアナ 森のマルーン
ガイアナ三国の一角とされているが、国連加盟国ではない。フランスの海外領土。
もともとフランスの犯罪者(重犯罪)が島流しされる所だった。イギリスのオーストラリアてきな場所。
スリナム(次章)よりも森林率が高い。
186.スリナム 森林率世界一
ガイアナ三国の一角である小国。面積・人口ともに南米最小の国。
かつての「オランダ領ギアナ」である。アメリカ唯一のオランダ語圏の国だが、実際は英語が一般的。
ガイアナと同様「CARICOM」に所属している。
また、インドネシアとは同じ旧オランダ植民地国として特別に蜜な外交関係がある。
様々な国々と外交関係を結んでいるが、文化的に多様性が富んでいることが背景に挙げられる。スリナム土着民族とインド系との混血、クレオール(アフリカ系との混血)、マルーンが上位3人種になる。
森林率は98%とほとんど森で、仏領ギアナを除くと世界一。
コバルトヤドクガエルという真っ青なカエルはスリナムの固有種。
187.ペルー インカ
インカ帝国の旗。ウィキメディアコモンズより:Made and uploaded by Huhsunqu. による作品
ナスカの地上絵やマチュピチュなどで有名な国。
かつてのインカ帝国の首都、「クスコ」も世界文化遺産に登録されている。
旧インカ帝国を築いた民族の末裔であるケチュア族(上述)とその混血(メスチソ)が住む。
その他、チチカカ湖には藁でできた浮島で生活する民族がいる。
じゃがいも、トマト、かぼちゃ、ピーナッツ、とうがらしなどの南米発祥の身近な食べ物の原産国。ペルーには300種類のじゃがいもがあり、首都には国際じゃがいもセンターがある。
ペルー料理は南米一とも言われている。
188.ボリビア ネイティヴ・アメリカンが多数派
ウィキメディアコモンズより:正装したボリビア・エル・アルトのチョリータ(右はルイス・イナシオ・ルーラブラジル大統領)
南北アメリカは多様な人種・民族が移住してきており、土着のネイティヴ・アメリカンは今や少数派となっている。そんな中、ボリビアは唯一ネイティヴ・アメリカンが多数派である国。
画像の「チョリータ」という民族衣装を着ていることが特徴。
ボリビア系民族の平均身長は低いことも特徴で、世界で見てもインドネシアに次ぐ男性ワースト2位の160センチ。
空が鏡のように映るウユニ塩湖がある。
首都ラパスは、世界一標高が高い首都として有名。
外交が消極的で、鎖国気味な国。一人当たりGDPが南米で1番低い。
コカインの原料であるコカの葉で作ったお茶を伝統的に嗜む。ついでにコカインも嗜んでいるとの疑惑がある。
189.チリ 銅
南米アンデス山脈に沿って東側にある、細長い国。
銅の産出量が世界最大であるのはこの国である。
銅以外の金属でも、リチウムの埋蔵量世界一。レニウム生産は世界シェア50%。
日本とともに地震がめちゃ多い国としても知られる(世界一地震が多い国)。1960年にマグニチュード9.5の観測史上最大の地震が発生している。
日本と貿易協定を結んでおり、安価なチリ産ワインはスーパーでよく見られる。南米一のワイン生産を誇る。
アンデス山脈に遮られて南米大陸の中では文化的に孤立している。そのため、チリ人のスペイン語のクセが強い。
チリの「アタカマ砂漠」は世界一降水量が少ない地域として知られている
190.アルゼンチン 南極に最も近い国
ウィキメディアコモンズより:アルゼンチン領南極の地図(Dexxter (talk))
世界最南端の国土があるがあるのは、アルゼンチンである。南極大陸に船で行くルートがあり、世界で唯一南極の領有権を主張している国。
南米で1番プライドが高い国と言われている。過半数がイタリア系白人で、ネイティヴ・アメリカンがほとんどいない。
大豆の生産が多い。中国・アメリカといった世界の穀物庫に迫る量である。
南米大陸の南端に位置するため比較的暑さが穏やかなため、白人は好んでアルゼンチンに住んだ。ゆえに現在南米でも人種のなかで白人の比率が高い国である。
牛肉の消費量が世界一。(日本の10倍)
バーベキュー大好き人種で、世界最大のバーベキュー大会とかやってる
観光資源も豊富で、ブラジルとの国境に世界三大瀑布の「イグアスの滝」や、ペンギンの群れを見られる「ウシュワイヤ港」がある。
ブエノスアイレスには、オペラ座・スカラ座と並ぶ世界三大劇場の一角「テアトロ・コロン」がある。
サッカー選手のメッシはアルゼンチン人。
191.ウルグアイ 初代FIFAワールドカップ開催国
ラプラタ川とその三角江を挟んで、アルゼンチンの東にある国。人種、方言などはアルゼンチンに似ている。
リオ会議でのスピーチが有名なホセ・ムヒカ氏は「世界一貧しい大統領」と称されているが、それは彼個人のこと。ウルグアイ自体は中南米で最も繁栄している国の一つで(一人当たりのGDPは南米大陸最高)、かつリベラルな国である。
南米はみなサッカー好きだけど、特に好きなのはこの国。
第一回FIFAワールドカップの開催国であり、初代優勝国でもある。
世界一農地率が高い国。82%。(2016 世界銀行)
192.パラグアイ グアラニー


ウィキメディアコモンズより:左)グアラニー人 右)マテ茶
ウルグアイが海岸沿いにあるのに対し、内陸にあるのがパラグアイ。
ラプラタ川流域周辺地域に広く生活していた「グアラニー族」の文化を特に継承している国。
グアラニーの文化として最も有名なのは「マテ茶」。世界三大飲料の一つで、コーヒーと茶に次いで消費されている飲み物である。
パラグアイ人は95%がメスチソで、グアラニー含めネイティヴ・アメリカンは少ない。しかし、スペイン語よりもグアラニー語*5の方が普及していたりとその精神を継承している。田舎に行くとスペイン語がわからない人も多い。
パラグアイは小さな国土で独立した事から、いち早く国家がまとまり近代化した。
しかしその後アルゼンチン・ブラジル帝国・ウルグアイの「三国同盟」を相手にした戦争で負け、50万いた人口が28万人になるなど壊滅状態になる。この戦争は南米の歴史で最も被害が出た戦争である。
ブラジルとの国境にあるイタイプダムは中国の三峡ダムに次ぎ世界2位の発電量を誇り、国内電力を100%賄って余りブラジルに売電している。国内電力は水力で100%まかなっている国。
193.ブラジル 生物多様性No.1




面積、人口、経済力すべてにおいて南米最大である南米の盟主。
アマゾン川流域に広大な熱帯雨林*6を有し、世界で一番多種多様な生物が生息している国。
人種においても「多様性」がみられ、「Pardo」と言われる混血が人口の大半を占める。ブラジルは世界でもトップクラスに混血が進んでいる国で、もはや黒人や白人、アジア人という概念が消滅しかかっている。日系人が世界一多い国でもある。
産業の面でも、広い国土を活かした農業や鉱業が盛ん。砂糖やコーヒーといった主要な食料品で生産量世界一。ガスのパイプラインなどで使われる金属である「ニオブ」の生産量が世界一。
スポーツではサッカーとバレーボールの強豪。それぞれ伝説のプレイヤーと呼ばれる選手、サッカーではペレ、バレーではジバを輩出している。その他、ロナウジーニョ、メッシ、Cロナウド、ネイマールもブラジル人。
カポエラはブラジルの格闘技である。
以上、日本で始まって真反対の国ブラジルまで全世界をすべてひとことで紹介してきました。
完結に2年以上かかりましたが、全て読んでくださった方がもしいれば、コメントで教えてください!