こんばんわ
今回はカリブ海諸国後編、「小アンティル諸島」です。2つのプレートの境界近くに隆起した火山島が主に諸島になっています。
淡路島より大きい国の方が少なく、今回はかなりマニアックな知識かもしれません。
図:小アンティル諸島の国々
小アンティル諸島はさらに北の「リーワード」、南の「ウインドワード」に分けられます。
小さな国ばかりだが、一人当たりGDPで見るとそれなりに上位につける中進国が多いです。
<リーワード> 2か国
リーワードの2か国の総面積は淡路島より小さい。
174.セントクリストファー・ネーヴィス 全アメリカで一番小さい国
ウィキメディアコモンズより:Addicted04
セントクリストファー島とネーヴィス島という2つの火山島によって構成される国。
南北アメリカのなかで人口・面積が一番小さい。独立したのも最近である。直近はアンギラ島と言う島とともにイギリスの自治領だった。
3000万円で市民権を買えるらしい。
175.アンティグア・バーブーダ カリブの低い島国
アンティグア島とバーブーダ島、その他の小島によって構成される国。英仏蘭の海外領土に囲まれた場所にある。
火山島からなる国が多い小アンティル諸国の中で、標高が低いことが特徴。山が少ないので降水量も少ない。平たい国であるが、「オバマ山」と言う1番高い山がある。
綺麗なビーチが多く、観光が主要産業。
サンゴ礁に由来する標高の低い島国は他にバハマ(前章)やバルバドス(後述)があるが、いずれもビーチリゾート地として非常に発展した国である。そういった意味で、この国は穴場的存在なのかもしれない。
平地が多い地理的特徴から、2017年に発生した巨大ハリケーン・イルマの被害が甚大となる。建物の9割が瓦礫と化す。
旧イギリス領。
(補)ヴァージン諸島
リーワードにあるヴァージン諸島は、アメリカ領とイギリス領で2分されている。
<ウインドワード> 6か国
176.ドミニカ国 カリブ族
ウィキメディアコモンズより:John Gabriel Stedman - Geheugen van Nederland
ウインドワードの1番南、リーワードとの境界付近にある主に1つの島からなる国
ドミニカ共和国とは全く別の国。カリブの島々土着のネイティヴ・アメリカンである「カリブ族」が現在も生活する居住地がある貴重な島。*1
カリブ族は、かつてはカリブ海周辺で広く現住していた。バーベキュー・ハリケーン・カニバリズムと言った言葉はカリブ語からもたらされたものである。
国土に占める火山の占める割合が世界一高い。世界で2番目に大きい「沸騰湖」である、「ボイリング・レイク」がある。*2
森林率もカリブ地域で1番高く、「ネイチャーアイランド」と呼ばれる8割が山地。
パイレーツ・オブ・カリビアンの撮影の舞台になった場所がいくつもある。
177.セントルシア ピトン山(世界遺産)
ウィキメディアコモンズより:Chensiyuan / 右図:セントルシアの国旗。ピトン山をイメージしている。
火山島一つからなる国。
かつてはイギリスとフランスが奪い合った過去があり、14回に渡って宗主国が入れ替わった。最終的にフランス領になるが、イギリスの文化も維持し続けた。現在はイギリス連邦にも加入している。
車から噴火活動が見られる火山の「サルファースプリングス」*3
ビーチリゾートとしても有名な国である。
178.バルバドス リアーナ
ウィキメディアコモンズより:SIGMA - Vimeo: Fenty Beauty by Rihanna (view archived source)
歌手で有名なリアーナを輩出した島国。車なら1時間で一周できる程度の小さなサンゴ礁でできた島。
一人当たりのGDP及びHDI指数はカリブ海でバハマに次いで2番目に高く、豊かな国(2017年)。平均寿命も長い。
リトル・イングランドと言われるほどイギリスとの関係は良好。
グレープフルーツの原産地。サトウキビから作られるラム酒も植民地期のバルバドスが原産と言われていて、現在もラム酒はカリブ海地域で多く作られている。
179. SVG(セントビンセント及びグレナディーン諸島) アロールート(クズウコン)の生産世界一
ウィキメディアコモンズより:Dani Lurie from London, United Kingdom - traditional store-bought Valentian snack
セントビンセント島および南部の約30のグレナディーン諸島からなる。その少し南にあるのがグレナダ(次項)。人口の9割はセントビンセント島に集中している。
国名が非常に長い国。北朝鮮やスリランカと並んで2番目(一位は実はイギリス)に長い。
デンプンの原料になる「アロールート(クズウコン)」の生産が世界一
「パンノキ」という植物を最初に導入した地域として知られる。
住民の6割強がアフリカ系。
小アンティル列島には「セント(Saint)=聖なる」とつく国はSVG含めて、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシアと3か国もある。
180.グレナダ スパイスアイランド
グレナダの国旗。左側にナツメグの絵が描かれている。:OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像
前項「SVG」の、グレナディーン諸島のうち南部の一部を領有しているのがグレナダと言う国。
道を歩いてるとスパイスの香りがするくらい、そこらじゅうスパイスな国。なかでもナツメグが多く、小国ながら生産量は世界トップクラス。
1983年のアメリカの「グレナダ侵攻」が世界史上有名な国。親ソ連の左派政権がクーデターで誕生した際に、アメリカによる直接軍事介入があった事件である。以後、親米政権が樹立されて現在に至る。
181.トリニダード・トバゴ カリブ海の産油・産ガス国
ピッチ湖のアスファルト。ウィキメディアコモンズより:Jw2c(投稿者)
カリブ諸国の中で一番南、南アメリカ大陸のすぐ北にある2つの島で構成される国。トリニダード島とトバゴ島。小アンティル諸島の中ではダントツで面積が広い。
2つの島からなるが、それぞれの島はかなり差異がある。
トリニダード島はビジネスや経済の中心地になっていて、印僑が多数住んでいる。
毎年、カリブ海で1番大きいカーニバルを開催する。カーニバルの内容も島の伝統に基づく。
トバゴ島は他のカリブ諸国と同様ビーチリゾートで、カリブのアフリカ系文化。「ナイロンプール」という、1メートルの深さの天然プールがある。
カリブ海諸国で最も天然資源産出量が多い。石油開発を始めたのはかなり早い方で、近年天然ガスの生産も始める。いずれの生産量も世界で20位前後に食い込んでいる。
石油が変化した天然アスファルトを生産する世界最大の湖(ピッチ湖)がある。1億トンのアスファルトがあるらしい。
ここ数年、エネルギー輸出・経済成長は低下をみせているが依然存在感はある。
首都ポートオブスペインは、カリブ地域の経済センター。首都に他所の国の名前がつくのは世界でこの国だけである。
次回でついにこのシリーズ最終回です。