全世界紹介シリーズ第二回、東南アジアは受験や公務員試験とかで地理をやっている人に、多少役に立てばうれしい。
11か国(6.~16)
6.ミャンマー アウン=サン=スー・チー
東南アジアで一番左っ側、一番西にある国。仏教徒の「ビルマ人」がマジョリティだが多民族国家で、イスラム教徒の「ロヒンギャ」は時事ネタとして注目されてる。
そのロヒンギャ迫害で近年非難を浴びているのが、アウン=サン=スー・チー。彼女はビルマ建国の父アウンサン将軍の長女で、非暴力民主化運動の指導者として過去にはノーベル平和賞も受賞した。現大統領はウィン・ミンという人で、アウン=サン=スー・チーは現在国家顧問として裏から権力を握っている。
旧称ビルマ。
7.タイ 上座部仏教
東南アジアの仏教は、日本や中国といった東アジアの大乗仏教とは系統が大きく異なっている。黄色の袈裟を着た托鉢僧が電車で席を譲られているイメージ。バンコクを中心に「ワット(寺のこと)」と呼ばれる蟻塚のような見た目の寺院がたくさんあり、日本人の観光客も多い。筆者も行ったことがあるが、トゥクトゥク(ちっこい車みたいなやつ)に乗ったのが一番面白かった記憶。
マレー半島のど真ん中にあるが、世界で数少ない、非帝国主義の国でありながら植民地にされなかった国である。太平洋戦争時に日本が「ロームシャ」を使って敷設した泰緬鉄道は有名。
すぐお金くれる親切な人が多いらしい。食い物はトムヤンクン、パッタイはタイ料理。
旧称シャム。シャムネコはタイが故郷である。
ミャンマーとは隣同士で同じ上座部仏教の文化のある国だが、歴史的に何度も衝突していることもあり仲が悪い。
8.ラオス 東南アジア最後の秘境
東南アジア諸国はどこも発展著しいが、ラオスは比較的素朴な風景を維持している。悪く言うと発展が遅れている(アジア最貧国)。木造の家や舗装すらない道の、ほぼ物々交換みたいな生活をしている風景が見られる。
ベトナム戦争時に大量の爆撃にあい、世界一空爆された国である。そのことは、クラスター爆弾が世界で禁止されるきっかけにもなった。現在でも不発弾が多く残留するほか、爆弾の残骸を船や鉢植えとして再利用しているところがよく見られる。言語(ラーオ語)はタイ語と親戚。
9.ベトナム アオザイ
アオザイとは、写真のようなベトナムの民族衣裳。「スケスケ感がエロい」と好きな民族衣装ランキング一位を獲得した。(当社調べ)
現在のベトナムは、ベトナム戦争時の北ベトナム(共産主義)が統一したもの。アカデミー賞とった映画の「プラトーン」はじめ、ベトナム戦争はアメリカ人にとっても大きな禍根を残した。もちろんベトナム人にとっても、例えば枯葉剤の散布で生まれた奇形児や、戦時レイプで生まれた混血児のいじめ問題など戦後も影を落とした。近年は経済発展が著しい。
最近は日本人にも観光で人気。中国とかつての宗主国フランスの文化をうまく吸収しており、フランス料理と融合したベトナム料理が人気。フォーとか。
10.カンボジア クメール・ルージュ
カンボジアの民族はクメール人という。共産主義武装組織クメール・ルージュの指導者ポルポトは独裁者として有名。一説には人口の三分の一が殺されたともいわれ、大量虐殺が行われた場所は「キリング・フィールド」と称される。共産主義による粛清という名目のもと、学のある人や美男美女が殺されたりした。旅行に行った友人によると、かつての粛清の影響で人間不信になったのか冷たい人が多かったとのこと(偏見)。
著者が小さい頃はカンボジアというと貧しい国の代表格のような扱いですらあった。近年高い経済成長率を記録しているが、東南アジアのなかでは後れを取っている方。
11.マレーシア スルタン(王)の輪番制
国土は主にマレー半島とカリマンタン島の一部からなる、なかなか変わった国土の形をしている。文化的に統一性があるというよりも、旧宗主国がイギリスの国、という判断でほぼあっている。そのため民族構成も複雑。ただし、宗教はほぼみんなムスリムで、イスラムの王制国家。
政治システムが特徴的で、9つの地域のスルタン(王様のこと)が5年の任期をローテーションしながら政権を担うという変わった体制をとっている。
人種構成は、原民族を「マレー人」と言うが、中国からの移民の華人など多民族である。マレー人優遇政策のプミプトラ政策を断行し、反発した華人の富裕層などがシンガポールなどへ流出した過去がある。
日本の集団主義などの倫理を学べ、といういわゆる「ルックイースト政策」もマレーシアのものである。工業化の努力の成果か、所得水準はロシアと同じくらいの中進国になっている。
12.シンガポール 華人の先進国
マレー半島の先にあるちっこい国である。遠目で分からないが島国。一人当たりのGDPは日本を上回り、NIESの一つに数えられる先進国である。華人は人口の70%を占める。世界三大海峡の一つ、マラッカ海峡の目鼻先で開運の要衝。世界で消費される石油の半分はシンガポールを通過しているというほどである。ほかにも、シンガポール空港も空路のハブになっている。シンガポール大学はアジア屈指の名門である。
交通のほか主要産業に金融があり、世界金融センターランキングでは東京を抑えて4位。また、世界中からカジノ目当てに観光客が来る。マーライオンが有名。
13.フィリピン ブラックナザレ
ブラックナザレとは黒く焦げたキリスト像に向かって大群が押し寄せる大祭である。(「クレイジージャーニー」で見た。) キリスト教国であり、旧宗主国はアメリカ。アメリカの統治はマッカーサーが主導し、経済発展や住民の反発が少なかった点で、成功した植民地統治であったといえる。ちなみにこれは、太平洋戦争後日本の連合国統治の指標にもなった。
アメリカ植民地だったため公用語が英語で、セブ島は安価な留学スポットとして注目されている。著者は以前ネット英会話「Native Camp」を利用していたことがあるが、そこの先生はだいたいみんなフィリピン人だった。
最近ドゥテルテ大統領のおかげ(?)でよく目立っている。
14.インドネシア 世界最大人口のムスリム
人口がめちゃ多く、世界最大人口の島嶼国でもある。そして、宗教はイスラム教徒が多数派。ASEANでも盟主と言われている。インドネシアで一般的な戒律は比較的緩く、「ヒジャブ」をおしゃれに着こなすヒジャブ女子が話題になった。
もう一つの特徴として、世界トップクラスに自然が豊かな国と言える。赤道直下の熱帯雨林が富かで、多様な生物がいる。ラフレシアやオランウータンなど。噴火で恐竜を絶滅させた疑惑がある巨大火山がある。
かつては油田が盛んで、貝のマークのガソリンスタンドで有名なロイヤルダッチ・シェルの主要油田はインドネシアにあった。オランダの企業ロイヤルダッチ(Royal Dutch)社はその植民地であるインドネシアの油田の販売で財を成し、その流通を手掛けたイギリスの商社であるシェル社と合併したものが現在のロイヤル・ダッチ・シェルである。さらに言うと、その油田を目当てに日本がしかけた戦争が太平洋戦争。現在は鉄鉱石とかの産地であるが、石油はあんまり出なくなっている。
15.ブルネイ 産油金持ち王国
石油と天然ガスが出るリッチな国で、一人当たりのGDPもシンガポールに次ぎ、日本を上回る。カリマンタン島の一部の小さい国でありながら、羽振りのいい国。システム上は絶対君主制を維持している。ムスリムの王族はいかにもリッチ感を醸し出す(偏見)。
日本はブルネイにとっての最大の貿易相手国であり、石油・天然ガスを主に輸入している。
16.東ティモール 東南アジア唯一のポルトガル語圏
21世紀最初の独立国として、2002年にインドネシアから独立。ポルトガル植民地→インドネシア植民地→独立という経緯を辿っている。前宗主国のインドネシアと仲悪いせいでASEANから東南アジアで唯一ハブられているが、もうじき入るのではないかと言われている。
「ティモール」とは、東と言う意味である。東東。
東南アジア唯一のポルトガル語圏である。
以上、東南アジア編でした。今回は11か国一気にいきましたが、今後は大体5か国前後ペースで行くと思います。大体ざっくりアジアから反時計回りに進んでヨーロッパ・アフリカ・オセアニア・アメリカみたいな感じいきます。
渡航経験のある人に聞いてみたりしましたが、話の内容が偏っている自覚はあります(;^^)もっとこういう事書いたほうが良いよ!てのあればぜひコメントでお願いします。
次回は中央アジア編。